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キャリアインタビュー

LVMHグループを辞め、実家の文房具店を継いだ彼女のモノを売る哲学とは?

今回は、LVMHをグループを経て、家業である140年続く文具店、土木田商会の代表取締役を務める細野有里さんにお話しをお伺いしました。

  • 2012LVMHグループ入社LVMHグループに入社し沖縄DFS株式会社に配属。その後、社内異動で第一志望だったゲラン株式会社へ
  • 2019父の他界により家業を継ぐ父の他界をきっかけに退職。家業の約140年続く文房具店を継ぐことに。母と二人三脚で会社を経営
  • 2020時代に合わせてチャレンジコロナをきっかけに越境ECにもチャレンジ。先代から受け継いだ「信頼」は守りながら事業をアップデート
  • 2023地域の”灯台”にチャレンジは続けつつも、緊急の調達が必要な際の地域の駆け込み寺として実店舗の価値を守っていきたい
CONTENTS

中学生の頃の夢はラグジュアリーブランドで働くこと。夢を叶えたファーストキャリア

ー ファーストキャリアはどんなお仕事でしたか?

2012年4月に、LVMHグループに入社しました。沖縄DFS株式会社に配属され、沖縄・グアム・成田空港・羽田空港でマーチャンダイジング(商品部)とストアマネージメントを経験。2017年に社内異動でゲラン株式会社に入社し、トラベルリテール部門にて国内外20店舗の免税店を担当。その部署に2年半勤めた後、2019年に退社しました。思い返せばラグジュアリーブランドで働くことは中学からの夢でしたし、入社した時はフランスの老舗化粧品ブランドであるゲランが第一志望だったんですよ。

念願の部署に異動。そんな時、父が他界。迷わず家業を継ぐ事を決意

ー 念願の…!でもそこから家業を継ぐ決断をしたんですよね?

はい。実は、幼少期から漠然と事業を継ぎたいと思っていたんです。祖父母が働いていたお店は幼少期の私にとって遊び場でしたし、父がする仕事の話を聞きながら、子供ながらにこの襷は受け繋がないといけないと思っていました。家業である土木田商会は前身である土木田商店から数えると明治13年から約140年続く文房具店。ずっと東京・大門で文房具を販売してきました。また店舗とは別に、法人営業も行っています。特に港区役所や官公庁をメインにプリンターなどのOA機器を納めてきました。社長である父が急性のガンで他界したのをきっかけに事業を継ぐことを決意。商材は全く違いますが、店舗運営を8年ほどやってきたので今までの経験も生きるかなと。ラグジュアリー業界は人気の業界ですが、実家の事業は自分しか引き継ぐことができない。今は会社の体制を見直し地域の灯台的店舗を目指し母と二人三脚で会社を経営しています。

ー かっこいいです。ご家族の反応は?プレッシャーもあったんじゃ…

家族はやりたいことを応援すると言ってくれました。

自分としては、これまで「何かを自分で辞める」という決断をしたことが無かったんです。会社を辞めた時はこんなに簡単に会社って辞められるんだってびっくりました。笑 今思えば、辞める時にグループ会社の人事の方から「戻ってきたくなったら連絡して」と名刺をもらったことは自分の中の一つの安心材料になったのかもしれません。

ー 家業を継がれた時はどんなことを感じられましたか?

実際に様々なお客様が商品を求めて私たちを訪れて下さるのを見て、先代がいつもお店を一番に考えていた意味を体感しました。現時点では会社をどんどん拡大して行こうとは思っていませんが、この先も140年続けるために再開発するこの浜松町の街と共に会社をアップデートし続けなければと思っています。店舗に来るお客さんの層も昔とは違うんですよ。昔は女性客はほとんどいませんでしたが、今は仕事の隙間でママさんが児童文具を買いに来たり、インバウンド客が増えたり。その層にフィットしていかないといけないなと思っています。

ー キャリアチェンジして一番大きな変化は?

LVMHの時は空港会社が大きな取引先であり、ある意味こちらはお客さんを選ぶ側の立場でした。今は一業者として選んでもらうという真逆の立場になりました。試行錯誤の毎日ではありますが、元々どんなことがあってもどっしり構えているタイプの両親に育てて貰ったお陰で、気づいたら私も小さいことにクヨクヨせず、どっしり構えるDNAが備わっているのは有り難いですね。笑

文具店として時代にフィットしなければ。インバウンド客向けに越境ECにもチャレンジ

ー 文具店をアップデート…!アイデアが肝になりそうですね!

はい。従来のやり方を踏襲するだけでなく、時流に合ったやりたいことにどんどん挑戦していきたいです。

東京タワーのふもと、増上寺のある街「大門」という土地柄、先ほども話した通り、インバウンドのお客さんが多くて。皆さんが帰国後も質の高い日本の文房具を購入できるように、越境ECを試験的にスタートしました。フリクションボールペンなどは海外の人たちは驚きながら喜んでくれますし、お土産で大量買いされますね。地元のみならず世界中に顧客を作りたいです。一方で先代から受け継いだものとしては「信頼」。新規参入しにくい業界だからこそ、そこは守っていかなければならないと思っています。

口紅がボールペンになっても「商材を売る」という根幹は同じ

ー 細野さんがそこまで頑張り続けられる理由は?

足元はハイヒールからフラットシューズに。取引先への移動は飛行機から自転車中心に。 働く環境は180度変わったものの、これまでの「商材を売る」という根幹は変わりません。 LVMHでは「伝統と革新」を企業理念にあげていますが、規模は全く違えど私が弊社で目指すところも同じです。これまでの経験が点と点で今に繋がっているから、それらを応用することによって今の私だからできること、やりたいことがまだまだあると思い、頑張り続けられる自分がいます。

文具業界はシュリンクしているのが現実ですが、需要は変わらずある。その日どうしても必要な物を求めて来るお客さんは絶対に居る。毎日商品問い合わせの電話は必ずある。ECが主体になっている今の世の中にこそ、地域に根付いた実店舗の価値を感じています。

ー 一歩踏み出せない人にアドバイスをお願いします!

一歩踏み出せない理由って「踏み出すタイミングがわからない」のと、「怖いから踏み出せない」のと2パターンある気がします。

私は“2年神話”というのを信じていて。「上司と合わない」とか「仕事がきつすぎる」など辛い環境って2年以上は続かないと思っています。もし2年間同じ所で我慢してみて違和感を覚えるのであれば、自分から環境を変えるべきタイミングなのでは?2年間のゴールを自分の中で設定してみて、やり切ったと思うなら、次のステージへ行くと期限を決めたりするのもいいかもしれません。

ー お仕事の必須アイテムは?

日比谷花壇の付箋です。メールやデータでなく、取引先の官公庁とのやりとりなどは今も紙の書類を送付することも多いので、一言添える際に土木田商会でも扱っている日比谷花壇の付箋が重宝しています。請書などお堅い書類も少しでも華やかで柔らかい雰囲気になればいいなと。

また、通常の付箋に比べ厚紙でしっかりしているので、反ってしまったり折れてしまったりすることもありません。見た目が可愛いだけではなく実用性も高く気に入っているポイントです。

【プロフィール】
細野有里(ほそのゆり)
土木田商会代表取締役。2012年立教大学経営学部卒業。大学では体育会モーターボート・水上スキー部に所属。2012年LVMHグループ入社しマネージメントトレーニーとして沖縄DFS株式会社へ配属。沖縄・グアム・成田・羽田にてマーチャンダイジング、ストアマネージメントを経験し、2017年社内異動でゲラン株式会社へ。トラベルリテール部門にて国内外の免税店舗のセールス及びVMDに携わる。2019年土木田商会に入社し、現職に至る。

この記事は2023年7月時点の内容になります。

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