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キャリアインタビュー

大企業を経て辿り着いた"人事領域中心のフリーランス"という私らしい働き方

今回は、大手家電商社で11年人事領域において幅広く経験した後、人事領域中心のフリーランスに転身した西村真友さんにお話をお伺いしました。

  • 2007病気を経験し新卒で大手へ19歳で病気を患い、医療費補助などの福利厚生も加味し、手厚い大手家電商社に入社を決断
  • 2008自己投資した新人時代営業志望だったが人事部に配属。そこで咲くため社外での勉強にも自己投資。前向きに11年勤務
  • 2019"自分の価値の棚卸し"34歳で退職後、「自分の価値の棚卸し」で自身と向き合う。人事としてSaaS領域の企業と業務委託を開始
  • 2023辿り着いた心地良い働き方人事領域専門のフリーランスとして「自己責任が伴う自由」を選択し、気持ち良く働ける環境作りを実現
CONTENTS

19歳で患った慢性骨髄性白血病と共に“生きるため”に大手に入社

ー 今のクライアントはベンチャー企業が中心とのことですが、新卒は大手に入社されたんですね

はい、大手を選んだのには理由があって。19歳で慢性骨髄性白血病を患い、自立していくために医療費を自分で賄っていくことを就職活動時に決めました。罹患した頃、世界で同時的に新薬が使えるようになって生きてはいけそうでしたが、薬代が3割負担で毎月30万円ほどかかっていました。高額医療制度を使っても毎月10万円の出費。新卒にとっての10万円って重いですよね・・・。なので「やりたいこと」よりも「生きること」を優先して、結果、健康保険組合や社宅制度など福利厚生が整った大手を選択しました。今でもいろいろと大変ではありますが、いまとなっては病気と共存しているおかげで、逆に強くポジティブに生きられているなと感じています。

ー そんなご経験をもポジティブに転換していく西村さんのパワーは凄いですね。最初の配属は?

大手家電商社入社時は営業を強く希望していたのですが、まさかの人事配属でした。正直、当時は人事が自分にぴったり合うものとは思えず、営業の人たちを羨ましく思う瞬間も少なからずありましたが、結果的には人事、労務、労政、採用、教育など、11年で人事領域を幅広く経験させていただきました。1年目から一人で全国行脚して採用活動をしたり経営会議や春闘に関わらせていただいたりという濃厚な時間も、社会保険の計算で数億円の内2円合わない…など苦手なことを知り、向き合う機会もありました。

新卒入社の商社では、希望外の部署に配属。折れずにそこで咲くため自己投資をした新人時代

ー 部署異動の希望は出さなかったんですか?

最初の3年位は異動の希望も伝えていた気がするのですが、当時は「人事=専門職」という考え方も強く、人事から他の部署への異動はあまり無かったんです。もやもやしていても仕事は待ってはくれず、年上の社員からの相談も多く、自分にもっと引き出しが無いと応えられないと凹むこともありました。やると決めたらとことんやるタイプなので、数年で200万円ほど自己投資をして、休日はカウンセリングや心理学を学びに行き、いまやったほうが良いと思えることを少しずつ積み重ねていくことで自分の役割の面白さに気づき、前向きに楽しめるようになっていきました。

ー すごい、、!意識が高いですね。置かれた場所で咲く方法を自分で見出していらっしゃいますね。

当時はそうでしたね!笑 振り返ると、その頃の学びは今でも活きているなと思います。例えば、学ぶ以前は相手の感情を思いのままにぶつけられた際、それを真正面から受け止めてしまい、苦しくなったり辛くなったりしていましたが、カウンセリングの知識を得てからは「このような発言や態度をするということは、きっとこのような心理状態なのかも…」と見立てて冷静になることができ、目の前の人に力添えできることも増えていきました。いま思うと、人事の仕事が深まる一つのきっかけだったような気がします。

34歳、退職後のプランは白紙。まず着手したのは「自分の価値の棚卸し」

ー 11年目で安定的な大手を辞める決断をしたのはどんな思いで?

正直なところ、入社した日に「いつかは辞める」と密かに決意していました笑。生きることを優先した選択だったこともあり、我慢を積み重ねている感覚は常に側にありました。ただ、律儀なところもあるので、辞めるまでは会社に少しでも恩を返そうと懸命に働きました。コミット力はめちゃくちゃ高かったと思います。タイミングは、勤続10年という節目で、仕事に対して一定の自信が持てたときに辞めることを決めて、1年間かけて引き継ぎを丁寧にしたのち、34歳で退職しました。

ー 退職した後の働き方は決めていたんですか?

実はほとんど決めてなかったんです。失業給付120日の間に「自分ができることの棚卸し」をしました。といってもそんなに難しいことではなく、1枚の紙に自分ができることをまとめるというシンプルなもの。まったくできないことはもちろん書かないけれど、謙遜しすぎないで、ちょっとできることなら書いちゃうのがポイント。経営者の友人に「社長だって誰でも1年目は新人社長、わからないことだらけだったよ」と聞いて、社長でもか、確かになと思い、「最大10とすると、“5しかできないから書かない”とはせずに、“5はできるからやる必要がでてきたら調べながら気合でやりきろう!”」とリストに追加していきました。

ー 言うなれば、「自分の価値の棚卸し」をするって勇気が要るけれど大事なことですね!

といっても、整理はしてみたもののここからどうしようと行き詰まったときに、人材系企業に勤める友人に相談に行きました。そこで私の性格や得意分野を踏まえた上で、「フリーランスで、クライアントはベンチャーが合ってるんじゃない?」「会社としてある程度成熟している“大人ベンチャー”が合いそう」などアドバイスをもらい、さらには友人の繋がりで合っていそうな企業に声掛けまでしてもらい(そういうときはしっかり甘えます)、結果、SaaS領域の企業と業務委託契約を結ぶことになりました。

ー 今は気づけば複数社抱えている西村さん。契約先も面白い会社ばかり!

性質がハードワーカーなので、1社に浸かりすぎてしまわぬように、2社以上で働くことを想定していました。まず、SaaS領域企業の採用業務(週3)と同時に、友人のイベント企画会社でプロジェクトマネージャー(週2)としても働いてみました。この経験により、1社に絞らないことが気分転換になり、私にはこのような働き方がフィットしているということに気がつくことができました。特に20代は面白い人がいそうな場所に足を運んでいたのですが、そのときからの繋がりで決まっているクライアントがほとんどです。継続しているアートの財団との契約は、イベントのプロジェクトマネージャーをしていた時にクライアント先の社長が声をかけてくれたことがきっかけ。目の前のことに真摯に向き合っていると声をかけてくれる人もいるのだなと、感謝しかありません。

「自分が気持ちよく働ける環境」って?と自問自答して辿り着いた今の働き方

ー 逆に仕事を受ける判断基準というかマイルールってあるんですか?

表現が難しいのですが…一言にすると、バイブスが合うかが大事だなと思っています。また、尊敬心を持ち合った上で率直に話し合うことができるか、私自身が楽しめるかは前提条件かも。私が他者よりも秀でていそうな部分を発揮しやすい仕事や環境、その希少性を活用してクライアントにとって不足していそうな部分を補えるかも大事にします。他方、自分にとってチャレンジングな仕事を選択して、自己成長に繋げていくという選択をすることもあります。

あとは、私はわりと苦手なことを表明しちゃいます。私より得意な人がいたら潔くお任せすることもありますし、誰もいなかったら気合でなんとかすることもあります。自分に「期待している部分」と「諦めている部分」を明確にすると判断しやすくなるかなと思っています。特に日本では、仕事には自己犠牲が伴い我慢が必要という雰囲気がある気がしますが、みんなもっと自分を大事にしていいよと勝手ながらいつも思っています。

ー 今の環境の魅力はなんですか?

「自己責任が伴う自由」でしょうか。有休などはないので体調管理には気を使いますが、精神的には自由です。契約にもよりますがワーケーションもしやすいし、相手が求める水準のアウトプットができていれば自由度は高いです。

ー 今後の展望と自分が全力で頑張れる理由を教えてください。

実は、人事業とは別で、作家としてチームで活動していて。得た報酬の生活費以外は、基本は制作に投じています。エネルギー切れにならないのは、仕事とは全く違うところでやりたいことをやれているからかなと思います。なので、感性を損なわないように、精神的に自由でいることを何より大切にしています。

ー 一歩踏み出せない人へのアドバイスをお願いします。

理想が高くなってしまったり、一歩目を踏み出すことが怖かったりすると思いますが、おすすめは、ありのままの自分を全部書き出して、しっかり自己客観視をすること。ネガティブなこと(現状に満足できない理由・嫌なことなど)も、ポジティブなこと(満足している部分・好きなことなど)も思いつくままに書き出してみる。恥ずかしくて人には言えないような欲(これを買いたいとか、こんな生活がしたいとか)も、まずは書き出しちゃう。それらを自己認識して、整理して、捨てることもあるし、譲れないことは行動に落とし込むとどんなアクションになるかを書いてみて、とりあえず目の前にあるほんの小さなアクションにチャレンジしてみる。動いてみると、案外、またその次の小さなアクションが見えてきて、それを長く続けていると、気がついたら結構遠くまできたなってことが私は多いです。

ー 日々忙しい西村さん。仕事に欠かせないお気に入りのアイテムはありますか?

集中したり、リフレッシュしたりする時に欠かせないのが、香り。こちらは、京都の四条と五条の間に位置する町家 The Terminal KYOTO で出会いました。自ら植物を採取・蒸留する調香師 沙里さんのフレグランスとお香。北海道出身の私にとってもどこか懐かしく透き通った香りです。仕事で張り詰めた状況でも、ホッと一息つかせてくれます。温かみのある触感や光の加減で移ろうかっこいい佇まいが好きで陶芸家 平井 秀さんの器を香皿として愛用しています。

【プロフィール】
西村真友(にしむらまゆ)
北海道出身。11年間大手家電商社の人事として勤めたのちに、2019年より人事領域中心のフリーランスとして活動。他には、アートの財団の事務局としても従事。作家として活動もしており、世の中に発信できるように準備中。

この記事は2023年7月時点の内容になります。

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