【登壇者プロフィール】
照井 真規子(オルビス株式会社 新規戦略部 新規戦略グループ グループマネジャー)
WEB 広告代理店を経て2019 年にオルビス入社。
以来、一貫して新規獲得領域におけるLINE公式運用からWEB広告のディレクションを担当し、ニキビケアシリーズ「クリアフル」のリニューアルタスクフォースにも参画。2021年3月よりマネジャー、2022年1月よりグループマネジャーとして新規獲得数の大幅伸長を達成、リブランディング以降の構造改革を牽引している。
稲田 樹里(株式会社博報堂DYホールディングス サステナビリティ推進室 マネジメントプラニングディレクター)
食品メーカーを経て2023年6月より博報堂DYホールディングスに入社。サステナビリティ推進室にて、グループDE&I推進、サステナビリティ情報開示等に従事。
佐野 京子(株式会社メルカリ メルペイ経理・税務部 部長)
大学在学中に公認会計士試験に合格し、PwC税理士法人に入社。法人税・消費税に関する税務案件を担当。2019年1月にメルカリ税務部に入社。同年10月にメルペイ経理・税務部へ異動し、決算・新規リリースのシステム要件定義・節税案件などに従事。2021年9月に同部の部長に就任し、2023年9月から経営企画部を兼務。
- 3社それぞれの働き方やカルチャーの特徴は?
- 日々の仕事の中で感じる面白み・やりがいとは?
- 仕事で成果を出すためにしている工夫とは?
- キャリアもライフも自分自身でハンドリングするためには?
- セッションの終わりに一言
3社それぞれの働き方やカルチャーの特徴は?
笹川:本日は「サステナブルに働く上でのキャリア・ライフのハンドリング術」というテーマで、オルビス株式会社・株式会社博報堂DYホールディングス・株式会社メルカリの3社で多様な働き方をされているお三方をお招きし、仕事への向き合い方、自分らしく働くコツ、サステナブルに働いていくために意識されていることなど、皆様に明日から実践頂けることをお持ち帰りいただけるようなお話を伺っていこうと思います。
笹川:まず最初に会社のカルチャーを教えてください。前職と比べてどのように変化したかなど含めていかがでしょうか?
佐野:現職と前職は180度違う文化ですね。前職はクライアントありきの業務でしたので、発言一つとっても正確性が求められる立場でした。一方でメルカリに入ってからは、「もしかしたらこういう可能性があるかもしれない」と頭の中に浮かんだことは、違っているかもしれないけれど“積極的に発信してみる”ことを大事にしているカルチャーがあります。
また、前職は同僚に外国人も多く、メールの8割が英語だったため報連相(ホウレンソウ)の難易度が高かった印象があります。ただ、「税務」という共通語があったため、現職ほど細かく嚙み砕いて説明する必要性はあまりありませんでした。現在はコーポレートにいて仕事仲間は日本人が多いのですが税務のスペシャリストは私を含めて数名しかいないため、嚙み砕いて説明する必要があります。コミュニケーションが英語か、専門性かという壁がそれぞれありました。
笹川:文化の違う会社に転職することは勇気がいることでしたか?
佐野:そうですね。自分を変える必要があるなと思いました。転職した当時はブログ(note)を書いて、入社してみてどういうことを感じたかなどを発信してみました。また、社内の日報をみんなが見られる場所で書いてみるなど、無理やりにでも発信すること自体に慣れる機会を自ら作っていました。
笹川:照井さんはもともと広告代理店からオルビスへ転職されていますね。
照井:私も広告代理店にいた時は複数のクライアントを持っていました。いろんな業種の方々と関わることができ、様々な情報を知り得たことが醍醐味でした。現職に転職して一番思うことは、一つひとつの事象に対してしっかり深堀りができるということです。何か結果が出たときに「なぜこの結果なんだろう?」と深堀りをすることができます。また、私が以前代理店側にいたので、代理店側にもパートナーとなって一緒に取り組んでもらうということを意識しています。代理店側にも一緒に挑戦しようという思いになってもらうようなコミュニケーションをとるようにしています。
笹川:稲田さんの転職のきっかけを教えてください。もともと広告代理店に入りたいという思いがあったのですか?
稲田:前職では、経理、サステナビリティ、新規事業開発と経験を積みました。その中でもサステナビリティ業務が面白くやりがいを感じたので、もっと専門性を深めたいと思い、サステナビリティという業務内容を軸に転職先を探していました。前職で最後に行っていた新規事業開発では、新商品を実際に作りEC販売をするプロジェクトを担当してたのですが、どのように広告を出すか、どうしたら売り上げがあがるのかと考える機会がありました。広告の出し方によって全然違うことを実感したり、どういう風に伝えたらうまく伝わるかなということを考えることが楽しくて、広告業界が面白いかもしれないと思い始めて視野を広げて、今に至ります。
日々の仕事の中で感じる面白み・やりがいとは?
笹川:今働いている会社、業務の面白みややりがいを教えてください。
照井:私は現在約14名のチームメンバーのグループマネジャーを務めているのですが、やはりメンバーの成長にやりがいを感じています。弊社は『スマートエイジング』「自分らしくここちよく年齢を重ねる」という思想を大事にしているのですが、それはお客様に向けてだけではなく社内でも浸透しているなと感じています。”個人”を大事にして、それぞれの成長も踏まえながら、彼ら彼女たちに何をやってもらうべきなのかと柔軟に考えています。
笹川:メンバーの皆様は若い方が多く、広告領域の業務が未経験の方も多いと伺いましたが。マネジメントで悩まれることはありますか?
照井:実は1/3のメンバーが未経験者です。日々移り変わる広告市場ではベースの知識が重要と思っています。ただ、自分がどういう状況で何が足りないかもベースの知識をつけながらもそれぞれ違うと思っていたので、私はメンバーに自分の現在のレベルを理解してもらうために今のレベルよりも「1つ上の課題」を与えるようにしています。そうすることにより意識的に自分に足りないこと、ギャップに気づくことができ、そのギャップを埋めるに頑張ってもらうようにしています。
笹川:「現実を知る」、ギャップに気付いて「できない自分を知る」という背景もあれば、期待して1つ上の課題を与えらていると感じることもできてマネジメントされている側のことを考えるといい環境ですよね。
稲田:私はグループのDE&I推進を担当しています。元々サステナビリティに興味があり、前職では環境領域の業務が多かったのですが、今は社会領域をメインとしてに携わり、日々勉強しながら面白く取り組みをしています。ホールディングスでグループ会社が多いため、男女、世代問わず多くの人と日々関わっています。立場の違う様々な人の話を聞きながらどのように進めていけばいいかと考えるのが楽しいなと感じています。去年の6月に入社しましたが、周りのメンバーのおかげで驚くほどすんなりとなじむことができました。現業で一緒に働いている方たちの気遣いがあり、自分の仕事に集中しながら業務を行えていると感じています。
笹川:佐野さんは部長という立場で人の活かし方がテーマになってくるかと思いますが。
佐野:そうですね。メルカリは会計、税務、システム等と専門性が多方面に渡っていて、一人一人が別々の分野で専門性が高いチームなので、協力し合い、お互いを理解しないと1つのプロジェクトが達成できません。お互いが何をしたいか、どうしてそうしたいのかを、とことん突き詰めてコミュニケーションを何度も重ねてようやくたどり着く、というところにマネージャーとしての面白みを感じています。
笹川:それぞれを業務だけでなく人としてもフィルタを通すということもあるんですね。
佐野:自分の仕事を見てくれているかな?評価されるのかな?ということが人には付きまとうと思うので、部長として見落とさずにすごいと思ったことは評価会議で主張するようにしています。一方でもう少し頑張れたなと思うところは1on1をしてサポートしフィードバックするようにしています。楽しさと大変さの両方があります。
仕事で成果を出すためにしている工夫とは?
笹川:成果を出す工夫がありましたら是非教えてください。
佐野:比較的マルチタスクな会社なので、新しいプロジェクトが次々とはじまったり、新しい機能が加わったりします。なので大きな塊で仕事を見るのではなく、それぞれ細分化して分類しながら処理するように工夫しています。
照井:私たちの会社には『オルビススタイル』という行動指針があって、その1つに「ひとつやってみる」という表現があります。目的の達成に向けて、できない理由を考えるのではなく、できる方法を見つけ出し、まずは一歩踏みだしてトライしてみるということになります。私のチームは広告が中心となるので新しい提案が毎日入ってくるのですが、その中でメンバーがやってみたいことを、責任は私がとるのでまず実行するという動きをとるようにしています。広告以外でもそうですが、何かやりたいと思ったらすぐに発言できる環境を作るようにしています。頭ごなしに否定せず、「まずはひとつやってみる」というチャレンジしやすい雰囲気の中で、それぞれが小さな挑戦を重ねることができています。
笹川:そのような風通しのいい文化はどのように作っているんですか?
照井:先ほどの「個人を大事にする」にもつながりますが、それぞれの意見をよく聞く会社と思っています。転職して初めてミーティングに入ったときに、時間より早くミーティングが終わり、私はすぐ席から離れようとしたのですが全員残って20分ほど雑談をしていたんです。そこから、課題が見つかったり、チャンスを見つけたり、個人個人が意見交換をすることができました。また、お互いの意見を否定することはなく、「受け入れるけど自分はこう思います」と強く言えるメンバーが多いので、雑談の場でもたくさんいいアイディアが生まれるのだと感じていました。
笹川:稲田さんの会社にも雑談文化があると伺いましたが。
稲田:そうですね。最近は効率的にという雰囲気が少しずつ入ってきてはいるものの、博報堂には雑談を大事にする文化があります。ちょっとした発言をきっかけに話が広がったり、いろんなところに種があると言っている人が周りに多いです。博報堂は「自由」と「自律」を大事にする社風で、やってみたいことはどんどん提案し、勝手にプロジェクトが立ち上がって進んでいくこともよくあります。私も行く行くは自分でもやっていきたいなと企みながら仕事をしています。
笹川:私も会社員だった時代に立ち話を大事にしていました。上長や他部署に面談を依頼するとお互い身構えてしまうのですが、立ち話をしながらちゃっかり大事なことを話したり、相談して頭の片隅に残してもらうという方法を結構重宝していました。
チームで働く上で意識していることを伺わせてください。
佐野:「リスペクトを持って働く」というマインドを意識しています。そのマインドを持っていると自然とわかりやすい言葉で説明しようとしたり、文書化しようとしたりできるようになってくると思います。弊社は日本全国どこででも働くことができたり、時間に関しても柔軟だったりするので、タイムリーにその場で話すよりも文書化したものを後で読んだり、チャットで説明したり、タイムラグが発生することが多いです。そのため、わかりやすい文書を書くこと、ドキュメントに残すことを意識してやっています。
笹川:「リスペクトを持つ」金言ですね。リスペクトをチームのメンバーに持つことによって声掛けも変わりますし、情報伝達の仕方も変わりますので、大事な姿勢ですよね。
仕事が最近うまくいかないな、人間関係で滞りがとれるといいなと思ったときに思い返すといい言葉かもしれませんね。
稲田:チームと言ってもやはり全く違うバックグラウンドを持った人の集まりだということは忘れないようにしないといけないと思っています。それぞれの得意なことや好きなことは違うなと感じています。私もほかのメンバーと比べてサステナの仕事に従事していた歴が長いのでそのあたりはフォローできるのですが、社内の人間のネットワークなどに関しては弱いのでそのあたりは他のメンバーにフォローしてもらったり、お互いのいいところを知って、協力しあいながら働くことは大事だなと思っています。
ツールの面ですと、チャットはよく活用しています。メールだと硬くなってしまうところ、より一層スピーディかつフランクに会話することよってコミュニケーションしやすい雰囲気が作れたらいいなと思っています。
照井:私は先を考えることをよく意識しています。例えばチームのメンバーの対応が1日遅れたとき、後のことを考えるように伝えています。自分では1日だけだったかもしれないけれど、それだけで後ろにしわ寄せが行ってしまい最終的にはお客様に迷惑がかかってしまうということをよく発言しています。なので何かあったときは必ず先を考え、自分たちがチームとして、そして会社としてお客様に対して何ができるかを常に先を考えようと意識しています。
また、チームで働く上でコミュニケーションが大切だと思っています。リモートになったタイミングから現在は週3出社になっているのですが、会社にいても画面と向き合うことが多くなり、会社に行っても誰とも会話しないことはもったいなと思っていたので、月1でミーティングを入れない日を作っています。そうすることにより、会社に行く意味も作れますし、チームで働く上でコミュニケーションが取れ、いつでも誰にでも聞けるといった状態がチーム効率化にもつながります。そういった環境作りを意識しています。
キャリアもライフも自分自身でハンドリングするためには?
笹川:キャリアとライフを両立する上で考えていることを伺わせてください。
佐野:私は結婚はしているのですが子供はいないので比較的ライフ面では制約がない環境です。夫も私も在宅勤務でお互いずっと家で働いているなと感じたので、いろいろな場所で働いてみるのはどうだろうと思い、1週間ホテル(沖縄、軽井沢など)をとって仕事をしてみることを試しました。朝は朝市に行って海鮮を食べてみたり、合間に素敵なディナーを食べに行ってみたりしつつ仕事をすることによって自分のテンションを上げながら仕事をすることを意識して行っています。
笹川:自分の人生のバリュエーションが職場や許されている環境で出たりするのかなと思いました。
佐野:私は旅行ですが、お子さんのいらっしゃる方は17時にお子さんのお迎えで抜けて、お夕飯やお風呂を済ませてから21時ぐらいに業務に戻られる方もいらっしゃいます。融通が効くので会社としてキャリアとライフを両立させる制度が整っているなと思います。
照井:私は一人暮らしで時間は比較的自由ですが、、何かしら自分に制約をつけたく、最近飼った犬の散歩時間を毎日のスケジュールに入れるようにしました。そうすると自分の中で切り替えができ、早めに帰る点で周りへもよい影響を与えられるかなと思っています。前もって決めておけば人にも迷惑かけない時間は作れるとわかりました。
また、ここ最近、長期休みはコロナ渦もあってあまり取得できていないメンバーが多く、今年の部の目標を共有した最後に「有休をがっつり取る!」という点も伝えました。年始に前もってブロックすることによってその予定が楽しみにもなりますし、プライベートも充実することはすべてにおいてモチベーションアップにつながると思っています。
稲田:博報堂では「ベストプレイスで働こう」という考え方があり、チームが一番パフォーマンスを発揮できる働き方をしましょうとルール化されています。私は時間を決めて会社に行って働くことが一番集中できるので、できるだけ会社に行って働くようにしています。チームにはお子さんがいらっしゃる方もいるので、テレワークが主体で朝から働いてお子さんを送り出す時間やご飯を作る時間は休むなど細切れの働き方をされている方もいらっしゃいます。お互いにライフスタイルを理解しあっていて思いやりを持って働けていると思っています。
予定表の活用も大事だと思っていて、とある会社でファミリータイムを予定表に設けている方がいて素敵だなと思いました。こちらの気持ちの持ち方も変わるので、周りに伝えるということは大事だなと感じました。
笹川:やることをちゃんとやって、仕事に向き合うときは向き合う。それぞれの立場や家庭環境は違いますが、自分の状態を共有する努力は壁を取っ払うためにも重要だなと感じました。
セッションの終わりに一言
照井:私も人が大好きで、一つひとつの機会を大切にしています。また、根っからのポジティブ精神がありますので、同じ事象でも考え方を前向きに変えて、毎日の生活を楽しく過ごすようにすることが得意です。何か力になれることがありましたらぜひお声掛けください。この機会を大切にしたいと思っています。
笹川:本日はありがとうございました。
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