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働く女性に役立つトピック

NewMeローンチイベント【Session1】新時代の働き方を考える

NewMeでは女性×キャリアを共通テーマとしながら、多様な働き方・生き方を届けていくことを目的に様々なイベントを開催しております。 2023年11月19日(日)にイベントの第1回として「今回は一社で勤め上げる時代が終わった今、キャリアとどう向き合っていくか」と題し、NewMeローンチイベントではセミナーを開催いたしました。【Session1】では株式会社GENDA代表取締役社長の申真衣さん、広告会社勤務の山田茜さんを迎え、新時代の働き方について考えました。

CONTENTS

【登壇者プロフィール】
申真衣(株式会社GENDA 代表取締役社長)
2007年ゴールドマン・サックス証券株式会社入社。金融法人営業部で金融機関向け債券営業に従事。 その後、2010年より金融商品開発部にて、金利・為替系デリバティブの商品開発・提案業務、グローバルな金融規制にかかる助言業務等幅広い業務に従事。2016年4月、金融商品開発部 部長、2018年1月、マネージングディレクターに就任。2018年8月、株式会社GENDA取締役就任。2019年6月より同社代表取締役社長。

山田 茜(広告会社/キャリアコンサルタント)
広告会社に勤務。会社員の傍ら、東大卒ママインスタグラマー・ブロガーとして活動。仕事も子育ても遊びも貪欲に楽しみたいママのブログ「ママキャリア」を始め、3つのサイトを運営中。平均月間PVは合計50万PV超。独自のキャリア論があり、育休中に国家資格キャリアコンサルタントを取得し活動している。

「新時代」は私たちの働き方にとって追い風?向かい風?

笹川:山田さんは広告会社で働きながらブログやインスタグラムでの情報発信を行うという「パラレルキャリア」を実践されていますが、そんな山田さんから見て今の時代っていかがですか?

山田:女性が社会で活躍することはもはや当たり前の時代。男女関係なくキャリアを追求できる、おもしろい社会になってきているかなと思います。

申:寿命が長くなり、老後の時間も長くなり…(定年後のキャリアチェンジも含めると)誰もが一度は職を変える、転職を経験しなければいけないという新しい変化が起こっていますよね。

「ロールモデルがいない」問題を考える

笹川:今回NewMeを立ち上げるにあたり、篠原さんと一緒に200人ほどの方々にヒアリングをさせていただいたのですが、中でも「社内に目指すロールモデルがいない」という悩みは本当に多かったです。

申:ロールモデルはいた方がいいと思うんですけど、女性はロールモデルを見つける時に厳しい印象があって。少しでも違うと感じる点があると「この人はちょっと違うな」と。女性管理職の数が少ないということもあるのかもしれませんが…一人で全てにおいて完璧な人を見つける必要もなく、ロールモデルが必ずしも女性である必要もない。いろんな人の素敵なところを見つける、そんな気持ちで「憧れ力」みたいなものを磨いていくと、自分を高めたいという気持ちに繋がっていくのではないか、と思います。

山田:私はロールモデル不要派なのですが、考えていることは申さんと同じです。目標はあった方がいいのですが、すべてが自分と同じ条件の人はいないし、やっぱり「自分らしいもの」を作るのがキャリアだと思っているんですよね。仕事の仕方とか、メールの書き方とか、小さいところから「この人のここがいいな」と思う点をたくさん集めてコラージュする、という考え方がいいんじゃないかなと。

篠原:私も新卒で入った会社で、1年目の時に生意気にも「ロールモデルとして誰をめざしたらいいですか」と聞いてみたことがあるのですが(笑)その時に10個くらい上の先輩から「あなたと同じ人はいないのだから、あなた自身がロールモデルになっていくのよ」と言われて。今のお話と通じるところがあって、全く同じ人はいないのだから自分がなりたい姿を描きながら、いろんな方の吸収したいところを吸収していく、ということですよね。

笹川:「ロールモデルのコラージュ」、いい言葉ですね!

「女性活躍推進」の手前にある、私たちの「違和感」

篠原:皆さんもご存じの通り、政府が女性活躍推進を掲げている中、世の中的には会社の規模に応じて女性役員比率を高めるべく目標数値が設定されるなどの動きがあります。 

笹川:ただ体感としてはその手前にも課題がある気がしますよね。そもそも女性役員になりたいのか、社内に女性役員がいない中で自分はそのポジションを目指していきたいのか、という矛盾を感じるというケースも多いように感じます。

申:「管理職になりたくない」という声はよく聞きますが、私としては管理職の方が楽しいですよと言いたいです。仕事は生活のためであると同時に自己表現の場でもあるので、同じ仕事でも違う人がやると違うアウトプットになる。より自由度があってより大きいステージの方が自分らしさが発揮されるから楽しい。あと管理職の方が仕事のフレキシビリティも高まるので、スケジュールをコントロールしたりバランスを取りやすかったりもします。例えば子供が熱を出して自分がミーティングに出席できない時に、来なくていいよ、と言われる。みんなにとってはそれが優しさでも、自分にとっては必要な情報が足りなくなったり、文脈が理解できなかったりして取り残された感を感じてしまうこともある。でも自分が管理職になれば、スケジュールをコントロールする権限を持つことができるんですよね。

笹川:生物学上という話もありますが、女性って男性と違って少し完璧主義なところがあるというか。100%仕事ができないと「私はこれができます」って言いづらいとか、活躍する実力があるのに自分に自信がないことが往々にしてありますよね。

申:女性の方が成果を出すことより、周りに好かれることや褒められることを気にする、評価基準にする傾向があるようにも思います。出来るかわからないことを出来る、と言ってしまうと嫌われるんじゃないか、なんて。そういう教育を受けて刷り込まれている部分もあるのかもしれませんね。ただ嫌われることから逃げると管理職は務まらないので、そこは女性が乗り越えるべき壁だと思っています。

篠原:私は1社目の社風もあって、実力をつける前にマネージャーという肩書をもらったので、管理職になりたい・なりたくないと考える前に管理職になり、今思うとできていなかったなと思うことも多々あります。ただその分、裁量をもって仕事をすることや、チームで成果を出していくことの楽しさに早く気づくことができた。そのことにとても感謝していて、その次のキャリアである人事責任者というポジションにも比較的抵抗なく、やってみようかなと思えました。

山田:企業によって構造や風土は違いますが、私の会社では現場レベルでも主体的に仕事しようと思うと、その分責任や裁量を持つことができる。管理職との差はマネジメント業務をするかしないか、と考えると、(大きな会社の場合は)管理職にならずとも裁量を持つこともできるのかなとも思います。

ライフイベントを乗り越えても「サステナブルに働く」とは

笹川:このテーマも最近よく取り上げられていますよね。申さんの中でも大事にされているテーマなのかなと思っているのですが。

申:自分からステージを降りないこと、ということが大事だと思っていて。女性は人に迷惑をかけたくないという気持ちが強く、ライフイベントがあると人に迷惑をかけるんじゃないか、ならばステップダウンしたほうがいいんじゃないか、とかなり手前の段階から備えて遠慮しがちな印象を持っています。それはすごくもったいない。本当にキャリアダウンせざるを得ない状況になるまでは一歩も遠慮しないでほしいなと思います。自分自身にコミットメントがないと、与えられた環境の中で活躍することもなかなか難しいので、やむにやまれぬ状況になった時に他の選択肢を考えればいいんじゃないでしょうか。

笹川:山田さんもまさに今、サステナブルな働き方をされているように感じます。

山田:その時々で自分が心地いい働き方を全力で追求することかな、と思っています。ペースダウンも含めて、自分にとって納得いく選択を積み重ねていくことがサステナブルな働き方かな、と。ママのライフイベントってたいていキャリアを後押しする論調で語られることは少ないですよね。世の中の情報ではなくて自分がどうしたいのかを大事にして、その時々のベストを積み重ねていくことがサステナブルだと思います。路線変更はできるので。

笹川:「自分がどう思うか」って意外と忘れがちだし、それを最優先にしてはいけないのではないかと無意識に考えがちですが、そこはやっぱり大事にしたいですよね。

篠原:ライフイベントとキャリアのいい時期って重なりがちだったりしますよね。私も出産のタイミングが「今が仕事を頑張るタイミング」と思った時期と重なったのですが、とりあえずできるところまでやってみて、もう無理と思ったらそう言おう、と周りに頼りながらやっていました。タイミングも含め、長期的に考えながら選択していくということなのかなと。

笹川:悩んでいる時ってつい目先の数年だけのスパンで考えがちですが、人生長いですもんね。

山田:倒れる時は倒れる時。ギリギリまで攻めて、あとはその時に考えましょう!(笑)

「転職」という選択肢について

笹川:申さんが転職・起業を考え始めたのは、自分の成長の鈍化を感じたタイミング、というのをどこかで拝見したことがあるのですが。

申:今の時代って一社に勤め続けてそのまま引退するというケースも少ないと思うんですが、社会人3年目くらいから「来る情報は全部受ける」というスタンスでした。世の中がどうなっているんだろうとか、競合他社はどんな感じなのかとか、どんな条件のどんな仕事があって自分はエリジブル(適格)なのかとか。その上でやはり今いる環境が充実していると実感したから転職しない、という状況が11年続いたのですが、大企業の中間管理職ならではの「上が詰まっているな」というのが見えてきたところで転職を前向きに考え始めました。ところが考え始めてみると、自分の違う可能性を考えてみたいということで、共同創業者との出会いもあって起業に至ったという流れです。 

篠原:新卒3年目くらいの方が一番人材紹介会社に登録する人が多いという話もありますね。全然使っていなくても、まずはアカウントをもって情報収集する人も増えている。外を見てみるのも大事な一方で、企業も優秀な方に長く勤め続けてもらうための努力をしているし、変わっていくという側面もあります。そこを天秤にかけながらちゃんと向き合うことが必要になってきます。

チャンスを掴むために、どんな努力ができるのか

山田:私は入社時に一番行きたい職種(コピーライター)に最初に配属されたのですが、しばらく働いた後別の部署に異動になって。できるだけ早く企画の仕事に戻りたいと思い努力したのですが、なかなか叶わず、数年かけてようやく企画の部署に異動できたという経緯です。

笹川:そんな中でチャンスを掴むために心掛けていたことはありますか?

山田:一つは普段の仕事に全力で向き合うこと。今やらなければいけないことの中からこれを伸ばしていきたいと思うことを選んで全力でやってチームに貢献すると、どこかで見てくれている人が認識してくれるかもしれないし、誰も見てくれなくても自分のスキルとして残ります。もう一つが、やりたいことを自分で知るためには「主語を自分に」やりたいことを叶えるためには「主語を会社・組織に」すること。自分がやりたいことのために、会社・組織には何ができるのかを考えて、ひたすらトライ&エラーしていくことでしょうか。私が逆境の中でも上向いてきたなと感じたのが、インスタグラムでの発信を始めた頃。まずは発信して、社内の人にも自分はこんなことができるんだと見てもらいたいと思って始めました。やりたいことのためにできることをいくつかやってみて、その中でも自分が心地いいと思ったことを全力で掘っていくというのがいいかなと思います。

笹川:申さんからも先ほど「色んな人の話を聞いてみる」というお話もありましたが、何か努力されていたことはありますか?

申:私は転職しようと自分の心が熟するまでにかなりの選択肢を見てきました。時間をかけると、特にスタートアップだと自分がオファーを見送った会社がその後どうなったか、そのポジションについた人がどんな人でどうなったかの経過を見ることができるんですよね。そうすると(オファーを見送った時に)自分が感じた違和感を言語化できたり、逆にあのポジションはいいポジションだったなと答え合わせができる。そうなってくると自分のこともよくわかるし、何か次に大事なタイミングでいい提案が来たときにより正しい判断ができる上、その瞬間に並べることは難しくても、後に違う時間軸で何かを選択するときに参考にできる。皆さん複数の選択肢の中から選びたい、と思われると思いますが、同じタイミングでいろんな選択肢が出てくることは少ない。時系列の中で答え合わせしていくと、より自分の納得感のある意思決定ができるかなと思います

篠原:いろんな人に会い続ける、自分の気持ちを言っておくというのはすごく大事なことのように思います。わかりやすくこれというものがない場合も、ご自身の興味があることを近いコミュニティでもいいので言葉にすることがチャンスに繋がることもあります。

今の環境でキャリアアップをめざすか、思い切って飛び出すか

笹川:今の環境から飛び出すかどうか、悩んでいる方も多いのではと思います。 

申:キャリアチェンジの相談をされる時によく言うのですが、1回間違えても、もう1回はこれまでのキャリアでやり直せる、安全地帯に戻れるから大丈夫。やってみてから考えてもいいと思います。2回連続間違えたら1回戻って軌道修正したほうがいいかもしれませんが、それでもそこまでの積み重ねがありますしね。

笹川:私もTBSのアナウンサーを辞める時、せっかく掴んだチャンスを逃していいのかすごく悩みました。でも辞めてみると長い人生の中の一歩、考えすぎていた気もするんですよね。1歩踏み出すことを1回経験するとしなやかになる、次の一歩が軽やかになるように思います。人生で1回くらいやってみてもいいのかなと。

篠原:私は1社目も自分にフィットしていると思っていたのですが、転職してみた結果1社だけの経験ではわからなかった、自分の強み弱みが明確にわかったんです。そこから自分がどうキャリアを重ねていきたいのか、すっきりしたのが3社目。飛び込んでみないとわからないこともたくさんあるのかなと思います。

山田:キャリアアップという言葉は浸透していますけど、キャリアダウンという概念は実際は存在しないのかもしれないと思っています。その時にその選択において自分がいいと思うことが1つでもあるなら、その時誰かに何かを言われたとしても、長い目で見ればキャリアアップと言っていいのではないでしょうか。あと、今日は「自分を主語に」という話をしてきましたが、会社や組織を主語にして考えると、キャリアアップは会社と自分のWin-winで決まります。心の中ではめちゃめちゃ自分主語で考えて行動していくのですが、誰かに伝える、交渉する、巻き込む時は会社・組織を主語にすると自分が思うキャリアアップに繋がりやすいのかなとは思います。キャリアは働き方だけではなくて生き方。仕事のことだけで考えるとアップやダウンかもしれないけれども、生き方と考えれば上も下もないですよね。自分がご機嫌でいられる方を選択しながら、今日がキャリアを前向きに考えるきっかけになればなと思います。

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