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働く女性に役立つトピック

「マミートラック」に乗る?乗らない?育休明けキャリアの考え方

【本コラムの担当と概要】 本コラムはNewMe編集部モカ(ペンネーム)が担当。新卒で金融系企業に入社、その後ベンチャー企業数社で働き、企業規模、職種など様々な環境下で働くメリット、デメリットを肌で感じてきた。二度の産休・育休を経て、現在はフリーランスのキャリアコンサルタントとして活動し、主に育児期の女性のキャリア支援を行っている。プライベートでは、小学生と保育園児の姉妹の母。 今回は出産後の女性が一度は考えるであろう「母親となった自身のキャリア形成」について、注目のキーワード「マミートラック」をテーマに3人のケースを見ていきたい。

CONTENTS

「マミートラック」とは?

マミートラックとは、出産後に復職した女性が以前より責任の軽い補助的な仕事を任されるなど、出世コースから外れてしまったり、キャリアアップが遅くなったりすることを指す言葉である。一度マミートラックに乗ってしまうと出世コースに戻ることが容易ではなく、競技用トラックでぐるぐると同じところをずっと回っているような感覚に陥るといったネガティブな状況を表す言葉としてしばしば用いられている。

しかし、もともとは1980年代のアメリカで、出産後の女性を「キャリアを優先する人」と「キャリアと家庭を両立させたい人」とで分け、両立を希望する人を支援する制度として育児休業やワークシェアリング等を設けた際に生まれたポジティブな言葉であった。

出産後の女性のキャリアを支援するために生まれた言葉が、今ではネガティブな言葉として使われている。それは、「母親」というものを一括りにし制度化すること自体が難しく、本来、母親になった女性達は十人十色の働き方があることを示しているように思う。

現に、一般的にはネガティブに捉えられているマミートラックであるが、マミートラックに乗ることをあえて希望する人もいる。この記事では、マミートラックのメリット、デメリット、そしてそれらに直面し、「乗る」、「乗らない」、「迷っている」という3人のエピソードを紹介したい。

3つのケースから見るマミートラック

・「乗りたくない」Aさんのケース

会社の中堅メンバーとしてチームを支えてきたAさん。出産により産休・育休を取得したが、なるべく早く仕事に復帰したいという想いがあり、0歳で保育園に子どもを預けて復職。会社からは時短勤務や配置転換も提案されたが、自ら希望して出産前と同じポジション・業務内容で、時短勤務にせず、時には延長保育を利用しながら仕事と家庭の両立を目指している。

子どもが熱を出した時には、在宅勤務制度を利用し、家で体調不良の子どもを見ながらパソコンを広げることもしばしば。ただ、子どもが小さくて手がかかるのはほんの数年だと思い、家庭も仕事も全力投球したいと考えている。
人生100年時代と言われる今、キャリアを途絶えさせないためにも今が踏ん張り時だと感じ、キャリアアップを目指して奮闘している。


「あえて乗りたい」Bさんのケース

会社の中堅メンバーとしてチームを支えてきたBさん。子どもの可愛い時期をできるだけ長く傍で見守りたいとの想いから、育休を出来る限り長く取ってから復職。

復職後は時短勤務制度を利用し、業務内容も以前より責任の重くないアシスタントのポジションを希望する。仕事は好きだが、特に子どもが小さいうちは仕事は無理のない範囲で行い、家事・育児の時間もしっかり確保できる働き方をしたいと考えている。
今は組織の第一線からは外れてしまっているが、補助的な仕事が多いため仕事についての悩みやストレスも減り、家族と向き合う時間と心の余裕が生まれたように感じている。

・「乗るか乗らないか迷っている」Cさんのケース
出産前は5人のチームを率いる管理職で、責任ある仕事にやりがいを感じていたCさん。産休時に後輩社員にポジションを引き継いだため、復職時には他チームの管理職を希望していたが、同様のポジションが空いておらず一時的に以前のチームにメンバーとして戻ることに。
以前は、プロジェクトの企画や部下のマネジメントにやりがいを感じていたが、後輩社員の部下となり、いちメンバーとして業務をこなす日々にモヤモヤしている。

とはいえ、1歳児を抱えて以前のような働き方ができるか不安もあり、会社にはなかなか声をあげられない。もし再び管理職に戻ったら、急な我が子の体調不良に対応できるだろうか、会社や同僚に迷惑を掛けることが増えるのではないか。
しかし、今キャリアをおざなりにしてしまうと、子どもが独り立ちしたあとの私のキャリア・人生はどうなるのだろう。

再び管理職に戻りたいという気持ちと、家庭との両立ができるのか不安な気持ちが入り混じり、将来の自分のキャリアについてしっかり考えなければならない時だと感じている。

マミートラックに乗る?乗らない?自分でハンドリングしよう

ここまでマミートラックに向き合う3人のエピソードを紹介してきた。自分はマミートラックに乗りたくないのか、あえて乗りたいのか、その意思決定をすることも容易ではないだろう。そして、意思が固まったとしても思い通りにいかずに悩むことも多いのでは。
ここからは、その中でもよく聞くお悩みである「マミートラックに乗りたくないのに乗ってしまった!」という場合、そこから抜け出すにはどうすればいいのか、自分でその後のキャリアをハンドリングする方法を見ていきたい。

ハンドリング法①:「チャンスが欲しい」自分の意思・意欲を周囲にしっかり伝える
上司や同僚に、もっと責任のある仕事をやりたい、新しい仕事に挑戦したいという意欲を知ってもらうことはとても大事。周囲は良かれと思って、家庭との両立のためにマミートラックに乗せてあげた方が良いのではと考えるケースもある。「マミートラックには乗りたくない」と自分の仕事へのスタンスをしっかりと伝えることで誤解が解け、抜け出すきっかけを作れることも。

ハンドリング法②:子どもの成長を考慮した長期的なキャリアプランを立てる
5年後、10年後、子どもの成長と共に当然家族の生活スタイルは変わっていく。寝かしつけがいらなくなったり、送迎がなくなったり、手がかからなくなる時期もあれば、勉強や習い事に一緒に取り組むなど、子どものための時間が逆に増える時期もある。そしていつか子どもは親の手を離れ独立していく。
もちろん不確定要素も沢山あるが、想像し得る範囲でこれらの変化を考慮し、この先どういったキャリアを歩みたいかを自問自答してみる。そうすると長期的な理想のキャリアパスが見え、逆算して今何をすべきかが見えてくることも多い。
「将来参加したいプロジェクトがある」「子どもが手を離れたら管理職に就きたい」など、自分の意思を明確に持つことがハンドリングに繋がるのだ。

ハンドリング法③:家庭内でフォローし合える環境をつくる
家事・育児をしながらマミートラックに乗らずに仕事をするには、家族の協力が必要不可欠である。家事・育児の分担だけでなく、パートナーとお互いのキャリアプランを共有することで同じゴールを見据えた話が出来、お互いのフォローがしやすくなる。
状況によってはシッターや家事代行サービスなど家庭外からのサポートも視野に入れながら、お互いのキャリアプランがうまくいくにはどうしたら良いか?を考えることができるだろう。

ハンドリング法④:転職するなど、環境を変える
最近は育児をしながら転職をする方も増え、ワーキングマザーの採用に積極的な姿勢を持つ企業も増えている。そして、会社員として働きつつ副業・複業で自分の幅を広げたり、フリーランスへの転身や起業も少し前の時代に比べれば比較的チャレンジしやすい時代になった。
今の職場では自分の描いたキャリアプランを実現できないかもしれないと思ったときには、思い切って環境を変えることを視野に入れてみることで自分の選択肢と将来の可能性も広がるのではないだろうか。

前述のように、「マミートラック」は出産後に復職した女性がキャリアアップが難しくなるというネガティブな意味で使われることが多い。しかし「キャリアと家庭を両立させたい人」へのサポートが整えられたありがたい環境であるとも言えるかもしれない。

日本でも、フレックスタイム制やテレワークの導入、託児所・保育施設の設置など、出産後の女性にとって働きやすい環境を整えている企業が年々増えていっていることは確かだ。

また、一時的にマミートラックに意図せず乗ってしまったとしても、自分のキャリアを計画的に整え、期限を決めてトラックから抜け出す、配置転換や転職で新たなポジションを目指すなどの行動を起こし、状況を改善していくこともできる。マミートラックから抜け出すことができる選択肢が多い環境、実例がある環境を選べていることが前提にはなるが、そうでない場合は第一人者としてチャレンジしていく心づもりが必要となる。

「マミートラック」を企業が用意してくれるのであれば、乗るか乗らないかという選択をしっかり自分の手でハンドリングしたい。そのためにも、自身がどのような思考を持ち、何を大事にしたいのか、どのようなキャリアを築きたいのかを棚卸しして、自己理解をしておくことが大切なのではないだろうか。

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