会場は昨年移転したばかりの新社屋。最新シーズンのアイテムが並ぶプレスルームという特別な空間で、GLRで活躍する3名をゲストに迎え、ブランドを“つくる”、“支える”、“届ける”それぞれの仕事のリアルに迫るトークセッションを実施した。
当日は、ウィメンズ商品部 ブランドディレクター 田中安由美氏、販売部 課長 板東翔子氏、ルミネ横浜店 スタッフ(セールスマスター) 山下彩花氏が登壇。モデレーターはNewMe CCOの笹川友里が務めた。
前半では、2026年春夏(26SS)の新作を交えながら、働く女性に向けた仕事服の着こなしやトレンドの取り入れ方を紹介。後半では、「“好き”を仕事にする」とはどういうことか、仕事のやりがいや葛藤、キャリアの転機について、それぞれの立場から語られた。
GLRは、ライフスタイルの変化に寄り添うブランド
セッション冒頭では、GLRというブランドの成り立ちについて紹介があった。
田中氏によると、ユナイテッドアローズ社は1989年創業、GLRは1999年に誕生したブランドだという。メンズ・ウィメンズ・キッズの3カテゴリーを軸に展開し、現在は全国約90店舗を展開。台湾にも店舗を構えるなど、ユナイテッドアローズグループの中でも最も大きな規模を誇るブランドへと成長している。
田中氏は、ブランド当初から「さまざまな暮らしの中でも、洋服を素敵に楽しみたいという気持ちに応えたい」という思いは変わっていないと語った。

一着の服の裏側には、11の仕事がある
続いて紹介されたのは、「ブランドをつくる11の仕事」。
板東氏は、ユナイテッドアローズ社にはディレクター、商品開発、販売、PRなど多様な役割があり、それぞれがつながりながら一つのブランドを形づくっていると説明した。すべての部署が「お客様満足の実現」という共通の目的のもと連携しているという。
中でも販売職は、お客様と直接接点を持つ仕事だ。
板東氏は、接客を通じて得たお客様の声を商品開発側へ戻し、より良い商品づくりにつなげていくことも販売の大事な役割だと語った。単に商品を届けるだけでなく、現場で受け取ったリアルな反応を次のものづくりへ循環させる存在であることが印象づけられた。

働く女性の“欲張り”に応える、26SSの仕事服提案
イベント前半では、事前アンケートで寄せられた「仕事でもプライベートでも着回せる服が知りたい」「ジャケットを着ても抜け感を出したい」「今年の春トレンドを取り入れたい」といった声をもとに、26SSのスタイリング提案が行われた。
最初に紹介されたのは、GLRの定番シリーズ「Greed(グリード)シリーズ」のセットアップ。
田中氏はこのシリーズについて、「オフィスだけで終わらず、着回しが利いて、素材にもこだわりがあり、価格も含めて納得感があるものをつくりたかった」と説明。“欲張り”という意味を込めて名付けられたシリーズであり、働く女性のリアルなニーズを反映していることが伝わった。
山下氏は、今季の新色であるブルーグレーのような絶妙なカラーや、オーバーサイズで羽織ることで生まれる程よい抜け感を紹介。オフィスではセットアップとして、休日はデニムやシアー感のあるインナーと合わせることで、印象を変えて楽しめる着こなしを提案した。
“仕事服”でありながら、肩肘を張りすぎず、日常の中で自然に着られるバランス感が、多くの参加者の共感を集めた。

ジャケットを着ても“抜け感”はつくれる
続いて話題となったのは、「ジャケットを着用しても抜け感が出せるコーデ」。
笹川が着用したお客様にも支持を得ている結論シリーズの「シアーエアジャケット」をもとに、山下氏は“抜け感”とは単にラフに着ることではなく、「おしゃれだけれど、どこかに余白や軽さがあること」だと説明した。
そのポイントとして挙げられたのが、インナー選びだ。
ジャケットの中に、コットン素材やカップ付きの軽やかなインナーを合わせることで、きちんと感の中にもほどよいリラックス感が生まれる。首元をすっきり見せたり、透け感のある素材を取り入れたりすることで、春夏らしい軽快さも演出できるという。また、シリーズに使われている素材について、リネンライクな見え方でありながらシワになりにくく、軽やかさと発色の良さを備えていると紹介し、会場からも関心が集まった。
2026年春夏のキーワードは“白”と“レース”
今年の春夏トレンドとして紹介されたのは、“白”と“レース”。
田中氏は、GLRの2026年春夏ディレクションテーマを「LUCLASSICS」と説明し、可愛いものを見た時に心が躍るような“乙女心”と、一人の女性として自立した凛とした姿の両方を表現したいと語った。その象徴として打ち出されているのが、白いアイテムとレースだ。
山下氏が紹介したのは、ニュアンス感のある柄が特徴の白のレースワンピース。
一般的にレースは甘く見えやすい印象もあるが、このアイテムは花柄をぼかしたようなデザインで、大人の女性でも取り入れやすい仕上がりになっている。ジャケットやセットアップの中に差し込むことで、仕事服にも今季らしさを加えられるスタイリングとして紹介された。
“好き”を仕事にする人たちに共通するもの
後半のパネルディスカッションでは、「好き」を仕事にしているからこそ感じるやりがいや難しさ、そしてキャリアの中での転機について語られた。
板東氏は、ユナイテッドアローズ社には多様な職種がある一方で、「服が好き」「洋服を通じて人をハッピーにしたい」という思いは共通していると話す。特にGLRには、人の役に立ちたい、誰かに喜んでもらいたいという気持ちを持つ人が多いと語り、ブランド全体に流れる温かい空気感がうかがえた。
田中氏は、デザイナー時代は洋服をつくること自体が純粋に楽しかったと振り返る。一方で、ブランド全体を統括するディレクターとなった現在は、PRや店舗、販売などさまざまな部門とバトンをつなぎながらブランドをつくっていくことに面白さを感じているという。
一つの商品を形にするだけでなく、ブランド全体の空気感や方向性をつくっていくこと。その広がりに、今のやりがいがあると語った。
山下氏は、接客のやりがいを「お客様の未来をつくること」と表現した。
ただ洋服を販売するのではなく、その服を着て過ごす日の気持ちや、その時に隣にいる人の反応まで想像しながら提案する。後日、「あの日楽しく過ごせました」とお客様から声をもらえた時に、この仕事をやっていて良かったと感じるという。
また、年齢や役職を超えてお互いを尊敬し合えるチームの存在も、仕事を楽しめる理由の一つとして挙げられた。

葛藤を越えた先に見えた、自分なりの仕事の軸
キャリアの中で乗り越えた壁についても、それぞれの立場から率直な言葉が語られた。
板東氏は、29歳という異例の若さで課長に抜擢された当時を振り返り、社外などで、自身の頑張りではなく、年齢や性別に関する偏見を感じる場面もあったと明かした。悔しさを抱える中で、「誰にも負けないくらい考え抜き、結果にこだわる」姿勢を貫いてきたという。
努力するだけでなく、それを結果につなげること。そこで初めて、自分自身でも納得できる形で壁を越えられたと語った。
田中氏は、コロナ禍でファッションが必要とされにくくなった時期が最も苦しかったと振り返る。売上の落ち込みから原価を厳しく見る空気が強まり、本来届けたいと思う商品づくりがしづらくなったことで、ブランド全体が負のループに入りかけたという。
その中で田中氏は、「原価ファーストではなく、本当にお客様に届けたい商品を先に考えよう」と提案。課題を俯瞰して捉え直し、ブランドの原点に立ち返ったことが、結果的に今の好調につながったと語った。

転機は、誰かに見出され、自分でつかみにいった瞬間に訪れる
最後のテーマは、「今のポジションに至るまでの転機となった出来事」。
山下氏は、社内称号「セールスマスター」や社内ロールプレイング大会での認定を目指し始めたことが大きな転機だったと話した。二、三年目頃から意識し始め、四年目に両方の認定を得たことで、自分に少し自信が持てるようになり、さらに高みを目指したいと思えるようになったという。
日々の接客は毎回が本番であり、毎日が勉強。その中で目標を持つことが、自身の成長の起点になった。
板東氏は、入社三年目の時に、リニューアルオープンする店舗の責任者に任命された出来事を挙げた。役職もなく、経験も十分とは言えないタイミングで大きな役割を任されたことに驚いたが、後に上司へ理由を尋ねた際、「人に対して誠実に向き合う姿勢を見ていた」と言われたことが強く印象に残っているという。
今の自分の能力だけでなく、その先の可能性を見て任せてもらえた経験が、現在のマネジメントスタイルにもつながっていると語った。
田中氏は、異動をほとんど経験せず、同じブランドの中でキャリアを積み上げてきた珍しいタイプだとしつつ、自分の転機は常に「もっとこうした方が良いのではないか」と意思を発信してきたことにあると振り返った。
声に出して提案することは、結果の責任も伴う。しかし、それを恐れずに発信し続けたことで、少しずつ役割が広がっていったという。
また、長く心に留めている言葉として「実るほど頭を垂れる稲穂かな」を紹介。周囲への感謝と謙虚さを忘れずに働くことが、今のポジションにつながっていると語った。

“好き”を仕事にすることは、誰かを想うことでもある
今回のイベントでは、ファッションという切り口を入り口にしながらも、その奥にある仕事観やチームのあり方、キャリアとの向き合い方まで深く触れる時間となった。
登壇者3名の話に共通していたのは、「好き」をただ自分のために追いかけるのではなく、誰かの役に立ちたい、喜んでもらいたいという思いとともに仕事にしていることだった。
ブランドをつくる人、現場を支える人、お客様に直接届ける人。立場は異なっていても、それぞれが誠実に仕事と向き合い、目の前の相手を思いながら選択を重ねている。その姿勢こそが、GLRというブランドの魅力を支えているのだと感じられるイベントとなった。
トークセッション終了後は、軽食とドリンクを囲みながらの懇親会も実施。登壇者と参加者、参加者同士の交流も生まれ、最後まで温かな雰囲気に包まれながら会は終了した。
NewMeは今後も、働く女性がキャリアとライフを前向きに捉え、自分らしい選択肢を広げていけるような機会を届けていく。



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NewMe Ch(YouTube):UNITED ARROWSで活躍する3人に聞く!「好きを仕事にする」 https://youtu.be/yDe0bdrLFhI
















