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働く女性に役立つトピック

二兎追う女性は一兎も得ないのか

【本コラムの担当と概要】 本コラムはNewMe編集部マーガレット(ペンネーム)が担当。大手日系企業で貿易事務などを経験後、人事部へ異動。キャリアの選択肢を増やすために国内でMBAを取得。現在1児を育てるママ。趣味はスポーツ観戦や家族や友人を招きご飯を食べること。 仕事上の目標とプライベートの目標の両立が難しいことを学生時代までに感じ取り、どちらか一方だけを手に入れられればいい、と考える女性は少なくないだろう。その考えに基づきキャリアを進めてきた筆者自身の思いやFacebook元COOの著書『LEAN IN』の中の言葉を交えながら、自分の可能性にブレーキを踏むのはその必要性に直面したときでもいいのでは?とキャリアとプライベートの両立に悩んでいる女性に向けてのヒントを紹介したい。

CONTENTS

キャリアとプライベートの両立の難しさ

キャリアの目標とプライベートの目標の両立が難しいと感じ始めたのはいつからだろう。

どちらも満足することが不可能だとどこかで感じ取り、挑戦する機会や能力があっても余力を残し、バランスよく無理ない範囲で手に入れたいと考える女性は少なくないだろう。その考えに基づきキャリアを進めてきた筆者もまた同様である。専業主婦の家庭で育ったこともあり、将来仕事はほどほどに、母親として育児に専念する道もいいなと漠然と考えていた。

就職活動では、海外と関わりある仕事がしたい、でも単身駐在して何年もバリバリ働き続ける自信もないし、子どもも30歳くらいまでには産みたいし…と当時交際していた彼との結婚を考えているわけでもなかったが、今思えば過度な将来への不安からプライベートとの両立がしやすい一般職を志望し、縁あって採用いただいた企業へ一般職として入社した。本記事では、ファーストキャリアの時点で自身の可能性を狭めうる選択をした筆者自身のエピソードを交えながら、キャリアとプライベートの両立に悩む女性へのヒントを紹介していく。

冒頭の疑問に戻ると、キャリアとプライベートの両立が難しいと感じたのは、どちらも充実させ、しなやかに生きている女性が身近にいなかったからだと思う。どちらかを充実させるためには、もう一方を諦めなければならない。誰かからはっきりと言われたわけではないけれど、“二兎追うものは一兎も得ず”ということわざにもあるように、ただ漠然とそういうものだと思っていた。筆者が大学生だった当時(2010年代前半)から”女性活躍推進”という言葉は存在していたが、メディアなどで目にする最前線で活躍している女性に対して、「この人のようには振り切れない」「自身が思い描く女性像とかけ離れている」と、憧れというよりも、雲の上の存在のように感じていた。

しかし、それは自身が持つ女性像に固執していたこと、そして自分の過去を振り返り、将来どうありたいかを明確に出来ていなかったからだと、社会人6年目にして気づいた。

無意識に出来上がっていた女性像、夫の一言でがらりと変わった

筆者は、家事を宅配サービスや業者に依頼することにどこかサボっている感覚を持ち、家事のクオリティを維持しながら仕事をしなければ、と専業主婦の母親の影響もあってか無意識に形成されていた理想の女性像に固執して過ごしていた。それは、就職を決める時点でワークライフバランスを重視した職を選択したことも後押ししていたと思う。

しかし、仕事をしながらそのクオリティを維持するのは到底難しく、理想通りに進められないことに自己嫌悪に陥り、仕事で多忙な夫に当たってしまうこともあった。

そんなとき、夫に掛けられた一言で、自身の考え方ががらりと変わった。

「外部に依頼することのなにが悪いの?家事を完璧にこなして仕事も頑張って、なんて求めてないし、努力する過程を重視するのではなく、互いがハッピーでいるために出来ることを考えよう」

それまでは”なぜできないのか”と変えられない過去の原因にばかり囚われていたが、その一言がきっかけで、”完璧を目指す必要はどこにあったのか”、”今後どうすれば可能になるのか”と変えられる未来へと視点が変わったのだ。

会社の同僚と結婚したAさんがあるとき得意気にこう言った。

「わたし一緒に住み始めてから何年も宅配サービスを使ったことがなく、外食の予定がない日は毎日ご飯を作っているの」

しかし、話を聞くとAさんは残業も日付を跨ぐまでに及ぶこともあり、両立がしんどいと言っているのだ。それならば家事を軽減させればと思うが、それも自分の理想の女性像に反するため許せないのだと言う。

家事も仕事も完璧にこなさなければ!と、アンコンシャスバイアスに苦しめられている女性は多いのかもしれない。

自分の譲れない価値観を知る

新型コロナウイルス蔓延をきっかけに、家に籠って物思いにふける人も多かったのではないだろうか。筆者も多分に漏れずそうだった。

未曽有の事態に、自分や家族の人生が変わるかもしれないと危機感を抱き、自分がこれまで大切にしてきた価値観やぶれない軸、そして、場所が変わっても、年齢を重ねても譲れないものがなにかを見つめることが増えたのだ。

そこで因習的な価値観から、既婚、出産、昇進、評価といったステータスにばかり目を向けていると、いずれ自分の本質を見失うことに気づき、現状を打破したい一心で大学院へ通うことを決心した。結果、修士論文発表の1週間後に出産するという思いがけない出来事もあったのだが、どちらかと言えば根性があるほうではなかった私でさえ、周りのサポートを得て無事卒業することができた。

女性には妊娠・出産を中心に多様な選択肢の分だけ複雑な悩みがあり、直面する壁もタイミングも完璧に合致する女性と出会うことは難しいと思う。ロールモデルとなる人がいない、と感じる女性が多い理由の一つは、この複雑さにあるだろう。

しかし、ロールモデルが一人である必要はなく、自身の価値観に合うよう柔軟に選択していけばいいのではないだろうか。自分の譲れない価値観はなにか、自分自身で(時に家族や友人などと話しながら)過去の経験を振り返り、考えてみるのもいいかもしれない。

“辞めなければならないときまで辞めないで”

Facebook COOだったシェリル・サンドバーグは、著書『LEAN IN』でこう述べている。

“辞めなければならないときまで辞めないで”

“女性の多くは、仕事を辞めるという一大決心はしなくとも、家庭をもったときに備えて微調整をするとか、ささやかな犠牲を払うといった、小さな決断を何度も積み重ねていく。こうしてつねに控えめに遠慮がちになり、表舞台から引っ込んでしまう。職場を離れる前から、心は離れてしまっているのである。”

“母親になる前から高い目標をめざさなくなっているので、同僚に後れをとるようになる。産休を取って職場復帰しても、実力を発揮出来なかったり、やり甲斐のある仕事を与えられなかったり、評価が下がったりする可能性が高い。どうして自分より経験の乏しい人間の下で働かなければならないのか、と彼女は苛立つ。あるいは、前ほど新しいプロジェクトにワクワクしないし、昇進したいとも思わなくなる。”

この言葉に共感した人もいれば、そうでない人もいるかもしれない。

本書は2013年に書かれているが、10年経った現在でも違和感のないエピソードや文章が多いのは、しなやかに生き生きと女性が活躍できる社会がまだ発展途上だからだろう。

もし、キャリアまたはプライベートで一歩踏み出す前にブレーキを踏みたくなったら、それは本当に今踏むべきなのか、一度立ち止まって考えてみてもいいのでは?

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