【セミナーのアジェンダ】
①NewMeよりご挨拶・会社説明(NewMe CCO笹川)
②登壇者紹介
③パネルディスカッション
【登壇者プロフィール】
山田 雅美(NEC社会公共ビジネスユニット 部門長)
同志社大学経済学部を卒業後、NECに入社。初任配属は営業職としてキャリアをスタート。20代後半より、自身の得意分野や関心を軸にキャリアを築きたいと考えるようになり、自らの強みである「膨大なデータを体系的に捉える力」に着目。社内での異動を通じて、営業事務のバックオフィスチームの立ち上げに参画。最初は1部門を支援する小規模なチームからスタートし、やがて統括部横断の組織へと成長させ、部門長としてチームを牽引している。
福地 美咲(株式会社琉球ウェルネス 共同創業者)
慶應義塾大学卒業後、2011年に株式会社サイバーエージェントに入社。広告代理事業部に13年ほど在籍し、局長として多数の事業と組織のマネジメントに従事。
現在は自身の法人を経営する傍ら、株式会社琉球ウェルネスの共同創業者として、スタートアップ・ベンチャー企業向けに組織変革支援(コンサルティング)や、経営幹部合宿プロデュース、プライベートリトリートなどの事業を展開。
山里 瑛瑠(旭化成ホームズ株式会社 ハウスコンサルタント)
慶応義塾大学卒業後、旭化成ホームズにて営業として13年勤務。医師を始め、経営者・著名人の邸宅を多数担当。
住宅や別荘、賃貸投資物件など80棟の建築に関わる。2017年世田谷区に土地を購入し、自宅を建築。2021年に女児を出産し産休育休を経て復職。現在祖母の介護サポートをしながらも営業として実績を上げ続ける。
【イベントレポート】
セミナーのアジェンダ①~③のうち、③のパネルディスカッション部分のレポートとなります。
- キャリアの始まりと“もやもや期”の乗り越え方
- 社内での存在感の築き方とリーダーシップ
- “辞めない選択”がくれた気づきと広がり
- 転職だけじゃない、社内で可能性を広げる方法
- 一社勤めでキャリアを切り拓くという選択
キャリアの始まりと“もやもや期”の乗り越え方

笹川:本日は「一社に長く勤め、キャリアの可能性を最大化する方法」をテーマに、3名の方にお越しいただきました。それぞれ異なる業界で活躍されている中で、どのようにキャリアを切り拓いてきたのか、一緒に紐解いていきたいと思います。まずは、皆さんのキャリア初期について教えてください。山田さん、営業時代の“もやもや期”のお話をされていましたね。
山田:はい。私は「キャリアの初期からバリバリ働いていた」と思われがちなんですが、実際はそんなことなくて。入社してすぐに、自分には営業の仕事が合ってないんじゃないかと感じていました。周りが難なくこなしていることも、自分にはすごく苦しかった。自信もなくて、どうしたらいいかわからなかったんです。
笹川:そこからどうやって抜け出していったんですか?
山田:次第に、今のまま苦手なことを頑張るのではなく、得意なことを生かした仕事をしたいと考えるようになったんです。自分がどんな作業なら苦なくこなせるのか、どんな時に力を発揮できるのかを言語化してみるようにして。それを上司や先輩に伝えて、「こんな業務はありませんか?」と自分から聞いて回りました。
笹川:社内での転職活動ですね!
山田:結果的に、新しい営業改革チームの立ち上げメンバーとして声をかけていただきました。実はそれ、たった5分の立ち話がきっかけだったんです。たまたまコピー機の前で「最近どんな仕事したいと思ってるの?」と話しかけられて、「実は仕組み作りや業務改善みたいなことが得意で」って軽く話したら、「ちょうどそんな部署立ち上がるんだけど、興味ある?」って。それで一気に流れが変わりました。面談じゃない、ふとした瞬間の会話が一番自分を素直に出せた気がします。
笹川:その自然なやりとりの中に、本音が滲み出ていたんでしょうね。計算されたプレゼンじゃなく、飾らない言葉にこそ説得力があるんだなと改めて思います。
笹川:福地さんはサイバーエージェント時代、29歳で局長に昇進されたと伺っています。ご自身の強みはどう見つけたんですか?
福地:私は「とにかく量をやる」ということを徹底していました。自分の得意なことを見つけるには、やっぱりある程度行動量を積むことが大事だと思っていて。中途半端に何かをかじるのではなく、何か一つのことを120%やり切る。その繰り返しで、自然と自分の強みや傾向が見えてくると思うんです。私の場合はそれが営業としてやり切る、ということでした。
笹川:120%でやり切るって、かなり大変ですよね?
福地:そうですね。何度も「もう無理!」ってなりました。でも、振り返ってみると、その積み重ねが自信になっている気がします。しんどい時は、「人生の中でどれくらいか」という長期スパンで考えるようにしています。「50年働くうちのたった数日」と思えば、なんとか乗り切れます。
笹川:山里さんは住宅営業というタフな職種で、トップセールスを続けられていますよね。その秘訣は?
山里:私、家が好きなんです。お客様と一緒に理想の住まいをつくることにワクワクしていて、その気持ちが原動力になっていました。成果を出そう!と気負うより、「お客様にとって一番良い提案をしたい」と思って取り組んでいたら、自然とご紹介も増えて、数字にもつながっていきました。
笹川:まさに“好き”が強みになる瞬間ですね。
山田:そうですね。そして、私は「男性のように働くことを目指さない」と決めていて。たとえば飲み会には行かない。18時半には帰る。その代わり、業務では相手の期待値をきちんと確認して、求められている以上のものを出すように心がけています。
笹川:その姿勢、とても共感します。20代の頃って、どうしても“嫌われないこと”を優先しがちですけど、山田さんもそのあたり意識されていますか?
山田:そうですね。以前は断れずに参加していた飲み会も、ある時から「これって評価に本質的には関係ないな」と気づいて。だったら、求められる仕事の“質”で信頼を得ようと切り替えました。
社内での存在感の築き方とリーダーシップ

笹川:ここまで皆さんのキャリアの出発点について聞いてきましたが、続いては「社内でどう存在感を築いてきたか」について伺っていきたいと思います。福地さん、若くしてマネージャーや局長として活躍されてきた中で、どのようにチーム作りをされていたんでしょうか?
福地:私は「プレイヤーとして成果を出すこと」よりも、「チームとして成果を出すこと」に早くからシフトしていたと思います。自分が営業として前に出て成果を出すよりも、チーム全体の目標を立てて、それに向かって皆で進んでいく仕組みを作ることにやりがいを感じていました。
笹川:ご自身がプレイヤーになるより、巻き込み型で動かれていたと。
福地:そうです。もちろん最初は「自分も結果を出さなきゃ」と焦る時期もありました。でも、「自分が活躍するより、チームで成果を出すことが責任だ」と割り切るようになってから、やっと自分の役割が腹落ちした感じです。
笹川:それってまさにマネジメントとしての覚悟ですよね。責任を“引き受ける”という意味で。
福地:はい、リーダーになったことで「仲間を頼れる」という感覚も得られました。前は何かあっても一人で抱えていたけど、ある時からは「一緒にがんばれる」仲間がいる、と感じられるようになり、モチベーションの“依存先”が増えたことで、ちょっとやそっとでは折れなくなったんですよね。
笹川:その感覚、すごく分かります。山里さんも社内で制度改革をリードされたと伺っていますが、どんな風に存在感を築いていかれたんでしょうか?
山里:私は復職後、「社内にロールモデルがいない」という現実に直面しました。でも、それを“悲しい”と捉えるより、「じゃあ自分が作ればいい」と思ったんです。そこで、復職後半年で、育休明けママたちの課題をヒアリングしてリスト化し、それを社内に提案していきました。
笹川:すごい行動力ですね!しかも感情論ではなく、課題と解決策を事実ベースで提示されたと。
山里:はい。解決策を提示し、実現に協力してくれる人を必死で探しました。
前例のないことを変えることはネガティブなイメージが強く、各部長は他人事で、主体的協力者があまりおらず大変でしたが、AさんがYESというとBさんもYES、それならCさんもYESと自然と増えていき、結果的に課題解決に反対する見えない敵は、存在しないことがわかりました。
笹川:まるで社内の“意思決定構造”を読み解いたような戦略ですね。結果的に制度も大きく変わったんですよね?
山里:はい。休日体系の変更や日曜労働者の社員向け託児制度、社内のダイバシティ研修など多くの制度改革や取り組みが始まりました。社内に「子育てをしながらでもキャリアを築ける」という前例を作れたと思います。
笹川:山田さんは“存在感を出す”という意味で、意識されていたことはありますか?
山田:「ちゃんと相手の期待値を確認する」ですね。成果を出すことって、実は相手の求めているものをきちんと捉えて、それを少し超えるアウトプットを出せるかどうかだと思うんです。だから、依頼を受けたら「こういう成果物で合っていますか?」と早い段階からすり合わせるようにしています。
笹川:それって本当に大事ですよね。勝手な想像で動いても、ずれたら評価にはつながりませんもんね。
山田:そうなんです。無駄な仕事も減るし、相手との信頼も深まるんですよね。
“辞めない選択”がくれた気づきと広がり

笹川:ここからは、「一社にいながら、どのようにキャリアの広がりを得ていくのか」に焦点を当てていきたいと思います。山里さん、たしかこれまでに「辞める」と会社に伝えた経験があるとか…?
山里:はい、実は2回ほどあります(笑)。1回目は1年目の終わり。仕事のサイクルが一通り見えて、「この先もこの繰り返しなのかな」と思ってしまって。一度、別の業界に転職しようと考えて内定もいただいたんですが、最終的に辞退して会社に戻ることにしました。
笹川:戻ることを選ばれた理由はなんだったんですか?
山里:「3ヶ月や半年で終わるプロジェクトじゃ、自分はまたすぐに満足してしまうな」と思ったんです。住宅営業は長いスパンでお客様と向き合い、1年かけて家をつくる。その“時間をかけて磨いていくプロセス”にやっぱり惹かれて戻りました。
笹川:なるほど。自分が本当に求める仕事のスタイルに気づけたんですね。
山里:そうですね。2回目は結婚した時です。夢だった“専業主婦で庭にバラを育てる生活”に一度は憧れて(笑)。でも、いざ仕事を数週間休んでみたら、無意識にアルバイトでもいいからと求人を検索している自分がいて。「あ、私働きたいんだ」と気づいたんです。
笹川:その発見、めちゃくちゃリアルですね!
山里:はい。結局、「辞める」って行動してみたからこそ、逆に「やっぱり働きたい」という気持ちに正直になれたんです。そこからは、この会社でプロとしてやり切ってみようって決めました。
転職だけじゃない、社内で可能性を広げる方法

笹川:ではここからは、「転職せずに社内でどう可能性を広げていくか」について深掘りしていきたいと思います。山田さん、長く一社で働くことの良さってどこにあると感じますか?
山田:そうですね、一番大きいのは「給与や立場を維持しながら職種を変えてチャレンジできる」ことだと思っています。私は営業からスタートして、途中で業務改革の部署に移り、今はマネジメントも任せてもらっていますが、異動のたびに給与や立場を変えずに新しいスキルや経験を積めたのはすごく大きかったです。
笹川:確かに社内異動だと環境が安定しているから、スキル習得にも集中できますよね。
山田:はい、社内だからこそ、人間関係や会社文化に慣れているので、学びにかける時間やエネルギーを節約できる。それに、制度もうまく活用すれば、自分の「武器」を増やしていけると思います。
笹川:福地さんも長く一社で働いた後に独立されてますよね。その経験から、一社勤めのメリットってどんなところにあると感じましたか?
福地:私は「変数が少ない環境だからこそ、自分の才能や強みを深く掘れる」ことが一社勤めの良さだと思っています。たとえば、職場環境や人間関係、文化が一定だから、目の前で起きる成果や失敗を純粋に“自分の影響”として分析しやすいんですよね。
笹川:なるほど、外的要因が変わらないからこそ、自分の内的な特性に目が向けられると。
福地:はい。私も13年間でいろいろな部署を経験しましたが、ずっとブレずにやってきた“共通項”が見えてきたことで、自信を持って次のキャリアに進むことができました。これは、転職を繰り返していたら気づけなかったかもしれません。
笹川:ありがとうございます。山里さんは老舗企業で「制度を変える」というアプローチを取られていますが、キャリアを広げるために社内で意識していることはありますか?
山里:私は「社内にまだない役割を、自分でつくること」を意識しています。たとえば、育児中の社員の働き方改革や制度設計の部分。これって最初は誰にも頼まれていないけど、必要だと思ったから自分で旗を立てました。
笹川:まさに“ポジションは自分で創る”ですね!
山里:はい。そのためには、ちゃんと成果を出すことが前提ですが、「こんな働き方があってもいいよね」と周囲を巻き込んでいくことで、新しいキャリアパスが生まれていくと思っています。
一社勤めでキャリアを切り拓くという選択
笹川:ここまで皆さんのお話を伺ってきて、「一社で働き続けること」の価値がとても伝わってきました。最後に、「一社勤めだからこそできたこと」「これからどう広げていくか」について、一言ずつ伺いたいと思います。
山田:私は「制度を活用して、新しい経験にチャレンジできること」が一社勤めの強みだと思っています。人事異動や業務研修を通して、違う職種にも挑戦できますし、外に出なくてもスキルの幅を広げられる。それに気づいてからは、社内の制度や人脈をフル活用して、自分のキャリアの選択肢を増やすようにしています。
笹川:社内でのキャリアアップにも“転職的視点”を持つ、という感じですね。
山田:そうですね。ずっと同じことをするのではなく、変化を自ら起こしていくイメージです。そして、どの選択肢が今の自分にとって一番良いのか、その都度見極めていく。自分の時間やライフスタイルに合わせて柔軟に選べるのが、一社勤めの醍醐味だと思います。
福地:私はやっぱり「自分の強みや才能に出会えたこと」が一番大きいです。一社に長くいることで、環境や仕事がある程度固定されるからこそ、「これは自分に向いている」「これなら頑張れる」という軸が見えてきた。そこに気づいてからは、社外に出ることも怖くなくなったし、むしろ「次に何を生み出せるか」が楽しみになりました。
笹川:内面とじっくり向き合える時間が取れるからこそ、自信にもつながるわけですね。
福地:はい。あと、一社勤めの経験って、案外外でも評価されるんですよ。「一つの組織でちゃんと成果を出し続けてきた」というのは、信頼のベースになると感じます。
笹川:山里さんはいかがですか?
山里:私の場合は、「前例をつくることができたこと」です。制度がないならつくればいい。ロールモデルがいないなら、自分がなればいい。そう思って、復職後は会社にたくさん提案してきました。最初は受け入れてもらえなかったこともありますが、諦めずに伝え続けることで、今は制度も文化も少しずつ変わってきた実感があります。
笹川:会社を“自分色”に染めていったんですね!
山里:そうですね(笑)。でも、それって“私だからできた”のではなく、誰にでもできることだと思っています。大切なのは「事実を冷静に伝えること」。そして、「対話を諦めないこと」。それを積み重ねていくことで、自分らしい働き方やキャリアは社内でも切り拓いていけると思います。
笹川:お三方とも、本当にありがとうございました! 一社にいながらも、視野を広げ、可能性を広げるヒントがたくさん詰まった時間になりました。

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