私自身、入社2年目のときにたまたまアジア拠点へ出張に行く機会があり、その際に「日本で私たちが携わっている商品が、この国の人にもこんなに愛されているんだ!」と驚き、また現地で若手社員もマネージャーとして広い裁量を持ちながら働いているのを見て、いつか私も海外で働きたいと思うようになりました。海外の仕事も短期でなくせめて3年程度はしっかり腰を据えて取り組みたい、でももし子供を持つなら年齢にも制約があるから…と悩みながらキャリアプランを描いてきました。夫とは結婚前からお互いの希望についてよく話していたので、「私が海外で働き、夫は東京で働く」というスタイルに夫婦間では納得していても、正直社内の福利厚生は女性の単身赴任を想定したつくりではなく何度も人事に問合せをしたり、受け入れる海外拠点も初めての女性駐在員かつコロナ禍で、過度に気を遣わせてしまったりと、スムーズにいかないこともありました。そんなときに、私が悩みを共有・相談したのが同じ境遇の女性たちでした。なぜその道を選んだのか?その道を選んだことをどう思っているのか?お二人に経験談を語っていただきました。
Yさん:20代、広告・メディア関係、台湾駐在(1年半)
仕事を通して仲良くなったYさんは、広告・メディア関係の会社に勤めていて、1年半の台湾駐在を終えて、最近日本に帰国しました。20代で希望が叶って駐在をし、週末は台湾各地を訪れてインスタグラムで台湾情報を発信するほど台湾愛にあふれるYさんに、駐在を終えた今の気持ちを聞いてみました。
― 海外で働くことになったきっかけは?
父の仕事の関係で幼少期台湾に住んでいたり、大学でも中国に留学をしたりと、海外で働きたいという気持ちをもともと持っていました。転職活動をする中で、現在の会社が台湾で働く人材を探していたこともあり、駐在前提で転職しました。
― 実際に海外で働くことになって、夫の反応は?
結婚して1年と少し経って、台湾に行くことになりました。夫に伝えたら、「ええやん!」と。夫は私のやりたいことを常に応援してくれていたので、特に話し合いなどはなく、「台湾に何回旅行できるかな?」と夫も楽しみにしてくれていたくらい(笑)。駐在期間は会社からは特に言われていませんでしたが、ライフプランも考えて、30代になるくらいには帰りたいなと思っていました。
― 海外で働いてみてどうでしたか?
満足度でいうと、実は30%くらい。取り掛かっていた途中の案件もあり、道半ばで帰ることになったのが悔しくて、もっとやれたのではないかという思いもあります。でもその中で、自分のポジションがもっと上だったら、会社を動かしてこの仕事を続けられたのではないかと気づき、今までは昇進・昇格に興味がなかったけれど、次にまた海外で働くまでに、自分のスキルやポジションを上げたいと思うようになりました。
― いま悩んでいる人へのエールをお願いします
もちろん悔しい気持ちはあるけれど、私は行って良かったし、とても良い経験になったと思っています。周囲の人からも「台湾は辛かった」「行かなきゃよかった」などの、行って後悔した話は聞いたことがありません。海外で働きたい気持ちがあって迷っているなら、私はまず行ってから考えることをお勧めしたいです。
Aさん:30代、メーカー、タイ駐在(2年半)
2年半タイに駐在していたメーカー勤務の友人のAさん(30代)。タイでマネージャーとして忙しい日々を送っていたAさんとは駐在中に、コロナ禍でなかなか日本と行き来できない状況でも、身体と心の健康を保つための工夫をWEB越しでご飯を食べながら情報交換していました。駐在を終えて1年ほど経過したAさんに、今後のキャリアについて聞いてみました。
― 海外で働くことになったきっかけは?
社内でグローバル人材育成の研修に1年間参加した後、希望して、海外と関わる機会の多い経営企画の部署に異動しました。将来的に海外で働きたいことを上司にも伝えていたところ、1年後にタイへの異動のチャンスが回ってきました。
― 実際に海外で働くことになって、夫の反応は?
夫も、家で私が英語を勉強している姿を見ていたり、海外に関する業務をしているのを知っていたりはしたけれど、いざ海外に行くとなると、最初の夫の反応は意外とネガティブでした。「本当に海外に行くの?」「何年間行くの?」「子供のことはどう考えているの?」と。夫ときちんと話し合って、家族間では3年以内で日本に帰ってくる期限を決めたことで納得してもらうことができました。もちろん、それが実現するように会社にも自分の考えるキャリアプランを提示して相談しました。
結婚してからの6年間は国内で勤務地が離れている期間もあり、もともと遠距離婚には慣れていたこともあり、毎日の電話が自然とルーティン化していて、始まってみるとスムーズでした。
― 海外で働いてみてどうでしたか?
30代前半というタイミングで海外へ行けたことに満足しています。海外拠点に駐在すると、日本で働くより少し上のポジションで働くことが多いです。だから、若い年次からマネージャーのポジションで働く経験ができたり、現地メンバーと一緒に働く中で異文化コミュニケーション能力を身につけられたりとたくさんの学びがありました。子供を産んで、また海外で働きたいと思うけれど、その頃はさらに上の経営層のポジションで働くことになると思うので、今しかできない経験ができたと思います。
― いま悩んでいる人へのエールをお願いします
タイに行く前に、夫がそこまでポジティブじゃなかったこともあり、「この選択があっているのか?」「間違えていないか?」と正直悩みました。家族は自分の味方だからお互いの希望が同時には叶わなくても、たとえば私の場合には今は私の希望を、〇年後には夫の希望を優先すると順番にステップを踏むことで納得するなど、話し合うことでどちらかが完全に諦める以外の選択肢が見えてくることもあります。でも、せっかく会社からチャンスが回ったときに断ったら、もうチャンスこないかもしれません。行きたい意志があって、自分にそのチャンス回ってきた、その2つが重なったときは逃さないで、諦めないでほしいと思います。
今回、自分自身での経験に加え、結婚後に海外単身赴任した経験のある2人の女性のホンネを聞く中で改めて、大変だったけれど行くことを選んで良かった、そして同じ悩みを持つ女性には諦めないでほしい、チャレンジしてほしいという言葉が印象的でした。
チャンスが舞い込んできたとき、自分自身で一歩踏み出したいと思い立ったとき、最初から諦めることはせず、後悔のないように、パートナーと中長期のライフとキャリアへのそれぞれの思いをとことん話し合うことが大切ではないでしょうか。自分もパートナーもお互いが納得できるように、日頃からたまにはちょっと改まって、膝を突き合わせて話し合ってみるのもよいかもしれません。
働き方、生き方、夫婦の在り方。それぞれが多様化している中で、決して正解はありません。女性の海外単身赴任も、その中の1つでしかありません。ただ、人生の選択に悩んだとき、視野を広げて様々な道を選んだ人たちの事例を知ることで、将来の可能性を増やし、あなただけの輝くキャリアを歩む1つのヒントになれたら幸いです。
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